蔵前仁一『旅ときどき沈没』

蔵前仁一の旅行はいわゆる「貧乏旅行」の類だが、バックパッカーは一般的な旅行やツアー旅行を下に見ていることが多く、「物質的なものにとらわれていない俺は偉い」「慌ただしく旅行している人には見えないものが俺には見えている」といった選民思想的な態度に不愉快になることが多い。でも蔵前仁一は、少なくとも本書に限って言えば、バックパッカーにしては比較的ニュートラルで、あまり押しつけがましくないように思う。