幕内秀夫『粗食のすすめ』

やれカルシウムだ、やれ何々式ダイエットだ、と騒がれる昨今である。しかし食物には一長一短があり、カルシウムを取れば大丈夫だとか何々を食べれば大丈夫だとか、そんなことはなく、またはっきりと確認されていない「微量栄養素」も非常に大事だと言われているそうだ。そのため、あんまり栄養素や特定の食品に執着するのは、まさに愚の骨頂なのだそうだ。

では何を基準に食を考えれば良いのかと思ってしまうが、本書では「FOODは風土が決める」というキャッチコピーを掲げている。ダジャレはイマイチ面白くないけれど、これは本書の重要なキーワードである。要は季節と日本の風土と日本人に合った、日本の伝統的な食事を行えば良いのだ、ということである。食の欧米化が進んで久しいが、米と野菜と少量の動物性蛋白質を基本とする日本の伝統的な食事には非常に良い点が多く、とにかく現代人は米を食いまくった方が良いそうだ。

まあ和食礼賛的な観点に立ちすぎな気もしないでもない(そんなに欧米の食事に目くじらを立てなきゃならないのか?)し、米を食いまくる方が本当に良いのかも疑問だが、俺らには食に関する謝った認識が多いのも事実であろう。