バーナード・マー『データ・ドリブン人事戦略』

もちろん、大きな潮流はよくわかる。KKD(勘・経験・度胸)ありきの人事が限界を迎えていることは事実であろう。

しかし、色々と書かれているが、正直あまりピンと来なかった。

なぜか。

人事の役割だの人事機能だのと書かれているが、結局、日本と欧米では人事部の役割が大きく異なっているからである。例えば、欧米にはそもそも「人事発令」という概念がない(だから欧米発の人事パッケージシステムには発令管理の機能もない)。ジョブ・ディスクリプションベースで契約しており、その従業員のキャリアは原則として部門内で閉じている。ボスをまたぐような部門異動を人事部ありきで進められることは原則ない。そんな中で、人事情報の管理だの採用管理だのと言っても、議論の前提が全く異なるのである。

どうなんだろうな。データ・ドリブンでの採用やパフォーマンス・マネジメント等、各論ベースでは役に立つ話もあるので、本書の内容についてはそういう受け取り方をしていけば良いのかもしれない。