鈴木孝夫『ことばと文化』

名著にして基本書。予備校時代に読んで以来だ。「本書の内容の何パーセントを理解できるか」といった知的ゲームとして読んでいた向きの強い予備校時代とは違い、今の俺にはごく基本的な事柄がほとんどだが、それだけに内容をジックリと味わいながら読むことができた。平易だけど、読めば新しい発見のある本である。こーゆーのを本当の「名著」って言うんだろうな。

本書は「ことばの構造、文化の構造」「ものとことば」「かくれた規準」「ことばの意味、ことばの定義」「事実に意味を与える価値について」「人を表すことば」の6章で構成されているが、個人的に読むべきだと思うのは1章と2章、そして5章と6章である。言語論というほど大げさなものではなく、「ことば」を日常的に使う上で、「ことば」とはいったい何なのかを考えるのに最適の箇所だと思う。予備校生や大学1〜2回生は、文系なら確実に読んでおくべきの本。そうじゃなくても、日本人の大人なら俺としては読んで欲しい。