- 作者: 灰原薬,灰原薬
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タイトルの通り、「応天門の変」を題材とした漫画、になるのだろう。
応天門の変って何だったっけという方はWikipediaを読んでいただきたいが、一言で書けば、平安時代に起こった政治事件であり、権力集中を目論んだ藤原氏による他氏排斥の動きだそうだ。
本作も応天門の変が起こる前夜といったところが舞台である。主人公は少年時代の菅原道真で、準主人公が色男・優男として名を馳せる在原業平。鬼だの物の怪だの呪いだのが跋扈する時代において、リアリストたる菅原道真が(主に在原業平の依頼に基づき嫌々ながら)論理的に事件を解決していくといった「ミステリモノ」が縦糸、朝廷で勢力争いをしている藤原氏と伴氏の対立がだんだん深まっていく「政治モノ」あるいは「歴史モノ」が横糸となっており、ライトに読めるけど深読みもできる、一口で二度も三度もおいしい作品である。
絵柄も綺麗で、各話の間には監修者による平安時代のコラムもあり、このおかげで、一口で四度も五度もおいしくなっている。
続きが楽しみな漫画がまたひとつ増えた。