感想を書けていない漫画を100冊まとめて 第3弾(今回は100冊で収まらないので正確には170冊)

最近ストレスが溜まっているのか、漫画を読む量が増えてきた。感想・記録がとても追いついていないので、ここ数ヶ月の間に読んだ漫画をまとめて170冊紹介。新しく手に取った作品68冊と、続き物102冊。7月と11月に100冊ずつまとめて消化したところなんだがなー。ま、これで一応(ほぼ)リアルタイムの漫画読了履歴に追いついたように思う。

服部昇大『邦画プレゼン女子高生 邦キチ』1巻、杉谷庄吾『映画大好きポンポさん』1〜2巻

この2冊はどちらも映画をモチーフとした作品なのだが、わたしの中では1年に1冊あるかないかの大発見で、この170冊の中でも白眉と言って良い。

映画をモチーフとした漫画は、料理漫画ほどはジャンル化されていないものの、実は幾つかある。大きく「登場人物が映画紹介をする漫画」と「登場人物が映画を創ろうとする漫画」に分けられるのだが、服部昇大『邦画プレゼン女子高生 邦キチ』は前者である。ビリー『シネマこんぷれっくす!』、アサイ『木根さんの1人でキネマ』、篠房六郎『おやすみシェヘラザード』、芳崎せいむ『テレキネシス 山手テレビキネマ室』あたりが同じジャンルの漫画として挙げられるだろう。一応、黒田硫黄『映画に毛が3本!』も映画紹介漫画と言って良いかもしれない。いずれにせよ、フツーに映画を紹介するだけだとなかなか漫画として成立しないので、どの漫画も映画をどう紹介し、どう絡めるかは色々と考えているなーと思う。例えば『シネマこんぷれっくす!』は漫画の登場人物を映画オタクの類型として登場させ、彼ら・彼女らを議論させることで興味を惹かせる手法、芳崎せいむ『テレキネシス』は深い人間ドラマと映画を絡めて紹介する手法、そして篠房六郎『おやすみシェヘラザード』はヒロインが面白い映画を上手く紹介できないというトリッキーなアプローチで逆説的に映画紹介漫画として成立させている。で、この『邦キチ』の面白いところは、徹底したボケとツッコミの面白さである。登場人物は主に2人、アメリカ映画を普通に楽しむ程度の男子高校生と、彼から「邦キチ(邦画キ○ガイ)」と呼ばれるB級邦画マニアの女子高校生で、主に邦キチがB級映画のプレゼンをして男子高校生がツッコミを入れるという構図なのだが、とにかく面白くてゲラゲラ笑えるし、実際に映画を観てみたくなる。

杉谷庄吾『映画大好きポンポさん』は後者、すなわち映画作りをモチーフとした漫画である。これも数は多くないが幾つか同ジャンルの漫画があり、わたしは細野不二彦『あどりぶシネ倶楽部』、今井哲也『ハックス!』、大童澄瞳『映像研には手を出すな!』あたりがパッと思い浮かんだ。といっても『ハックス!』はアニメ映画だし、『映像研には手を出すな!』は単にアニメーションかもしれん。でもまあ映像作品作りという意味では一緒だから話を進めるが、この種の漫画はとにかく「ものをクリエイトしたい!」という思いがビンビン伝わってくれないと話にならないわけだが、この『ポンポさん』はとんでもない熱量がある。この杉谷庄吾という方自身に強い創作のマグマがないと、ここまでの物語は生み出せないだろうなと思った。

2冊とも大推薦。

瀬野反人『ヘテロゲニア リンギスティコ 〜異種族言語学入門〜』1巻

主人公は、文化人類学者のような人なのだが、師匠である学者先生が体調を崩し、独りで「魔界」にフィールドワークするという設定。

まず言葉がわからないし、言葉の裏側の概念もわからないし、そのような中で身振り手振りで……といっても身振り手振りの概念すら異なる。それでも同じ人間なら……という期待もむなしく、相手はワーウルフであり、スライムであり、クラーケンであり、リザードマンである。ワーウルフはまだかなり人間に近いが、人間が息を吐く際に発話するのに大して、ワーウルフは息を吸う際に発話する。しかもワーウルフは嗅覚が発達した結果「嗅覚言語」のような概念があり、嗅覚で色々わかってしまうことをそもそも尋ねない。さらには、人間に聞き取れない周波数で会話をする種族とか、クラーケンは色相で会話をするとか、ワーウルフのように色の区別がそれほどできない種族とクラーケンは身振り手振りで会話をするが、例えば人間のような「指差し」の概念がない等、非常に細かく設定が作り込まれている。読んでいてとにかく面白い。

わたしとしては、この1巻が爆発的に売れて、作者に印税がガッポリ入り、しっかり設定を考えながらじっくりと作品を描き続けてほしいと思うのだが、さてどうなるかな。わたしは自分のブログをアフィサイト化する趣味はゼロなのだが、わたしのような泡沫ブロガーではいくら大推薦してもこの漫画を買ってくれる人は数人だろう。誰か有名ブロガーが目をつけて、この作品を推薦してくれることを祈るばかりである。

三浦建太郎『ベルセルク』40巻、広江礼威『ブラック・ラグーン』11巻、葦原大介『ワールドトリガー』19巻

ベルセルク 40 (ヤングアニマルコミックス)

ベルセルク 40 (ヤングアニマルコミックス)

ワールドトリガー 19 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ワールドトリガー 19 (ジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:葦原大介
  • 発売日: 2018/12/04
  • メディア: Kindle版
待ちくたびれたよシリーズ。

ベルセルクは一時期、絵が高みに到達しすぎてヤバかったが、最近は少しマシになってきたか。しかしエレーンがついに……って感じで早くも次が待ち切れない。

ブラック・ラグーンは絵柄がちょっと変わったな。特に目のあたり。久々すぎて作者が描き方を忘れたのだろうか。

ワールドトリガーは、首の病気で1年以上休載していたのだが、掲載誌を変えて再出発という感じ。週刊連載じゃなくなると、この緻密な戦闘の描き方、非主人公サイドの心理描写の描き方は少し変えないと、読む側がダレてしまうなと思う。これについては、ひぐちアサ『おおきく振りかぶって』や日本橋ヨヲコ『少女ファイト』を例に取るだけで十分だろう。

川崎直孝『ちおちゃんの数学路』9巻、イチヒ『おとなのほうかご』4巻、白乃雪『あたりのキッチン!』4巻、山本さほ『岡崎に捧ぐ』5巻

おとなのほうかご4 (MFC)

おとなのほうかご4 (MFC)

  • 作者:イチヒ
  • 発売日: 2018/10/22
  • メディア: Kindle版
岡崎に捧ぐ(5) (コミックス単行本)

岡崎に捧ぐ(5) (コミックス単行本)

  • 作者:山本さほ
  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: Kindle版
終わっちゃったものシリーズ。どれも大好きな作品だったが、どれも綺麗に終わったかなと思う。この綺麗に終わるというのが意外に難しくて、「描き尽くした」「味わい尽くした」と作者・読者が双方そう思える作品は貴重だ。なお、『ちおちゃんの通学路』『おとなのほうかご』『岡崎に捧ぐ』の3作品は他に類例を見つけづらい作風なので、「ちおロス」「おとロス」「おかロス」は避けられないわけだが、『あたりのキッチン!』は数ある料理漫画のひとつであり、何とか他の料理漫画で凌いでいきたい。個人的にはさもえど太郎『Artiste』を推す。正確には料理漫画ではなくて料理人漫画、いや料理人として生きる青年を中心とした群像劇か。

岩永亮太郎『Pumpkin Scissors』15〜22巻、岩永亮太郎+皇月ノブ『Pumpkin Scissors : Power Snips』1巻

元々かなり好きな作品だったが、どうも展開が遅い気がして買うのをしばらく控えていた。そして、何となく「そろそろかな」と思って15巻以降を一気読みしたのだが……凄かった。わたしの漫画に対する嗅覚もかなり鍛えられてきたということかもしれない。まさにピンポイントだった。その勢いでスピンオフも購入したが、こちらもまあまあ。

その他……感想割愛!

しろまんた『先輩がうざい後輩の話』2巻、鯨川リョウ『秘密のレプタイルズ』6巻、栗山ミヅキ『保安官エヴァンスの嘘』5巻、白浜鴎『とんがり帽子のアトリエ』4巻、オジロマコト『猫のお寺の知恩さん』8巻、ヴァージニア二等兵『異世界居酒屋「のぶ」』7巻、相田裕『1518! イチゴーイチハチ!』6巻、冨樫義博『HUNTER×HUNTER』36巻、細野不二彦『ギャラリーフェイク』34巻、佐々大河『ふしぎの国のバード』1〜5巻、あfろ『ゆるキャン△』7巻、ナナシ『イジらないで、長瀞さん』3巻、蝸牛くも+黒瀬浩介『ゴブリンスレイヤー』5巻、稲光伸二『性食鬼』12巻、Cuvie『絢爛たるグランドセーヌ』11巻、荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険Part8:ジョジョリオン』19巻、櫓刃鉄火『ウチの使い魔がすみません』2〜5巻、泰三子『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』4巻、ビリー『シネマこんぷれっくす!』2巻、ツジトモ『GIANT KILLING』49巻、小山宙哉『宇宙兄弟』34巻、松田奈緒子『重版出来!』2〜11巻、三条陸+佐藤まさき+石ノ森章太郎+塚田英明+寺田克也『風都探偵』4巻、はっとりみつる『綺麗にしてもらえますか。』2巻、高野ひと深『私の少年』5巻、桜井画門『亜人』13巻、板垣巴留『BEASTARS』11巻、桑原太矩『空挺ドラゴンズ』4巻、石塚真一『BLUE GIANT SUPREME』6巻、ジョージ朝倉『ダンス・ダンス・ダンスール』11巻、浜田よしかづ『つぐもも』22巻、押見修造『惡の華』10〜11巻、押見修造『ぼくは麻里のなか』3〜9巻、押見修造『血の轍』2〜4巻、カルロ・ゼン+東條チカ『幼女戦記』10〜11巻、ヤマシタトモコ『違国日記』3巻、井上堅二+吉岡公威『ぐらんぶる』12巻、ひぐちアサ『おおきく振りかぶって』30巻、小坂泰之『放課後ていぼう日誌』3巻、泉光『図書館の大魔術師』2巻、泉光『図書館の大魔術師』2巻、堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』21巻、小林有吾+上野直彦『アオアシ』15巻、こざき亜衣『あさひなぐ』28巻、安部真弘『あつまれ!ふしぎ研究部』5巻、天原+masha『異種族レビュアーズ』2巻、高浜寛『ニュクスの角灯』5巻、おおのこうすけ『極主夫道』2巻、南勝久『ザ・ファブル』16巻、ハナムラ+石井和義『どるから』3巻、山田胡瓜『AIの遺電子 RED QUEEN』3巻、さもえど太郎『Artiste』4巻、リムコロ『世話やきキツネの仙狐さん』3巻

愛南ぜろ『残機×99』1巻、東谷文仁『ダンジョンのほとりの宿屋の親父』1〜3巻、豊田悠『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』1巻、吉辺あくろ『お従兄さんの引っ越しの片づけが進まない』1〜2巻、力蔵『世界最強の後衛』1巻、記伊孝『アニウッド大通り』1〜9巻、星海ユミ『ヤンキーショタとオタクおねえさん』1〜4巻、影待蛍太『GROUNDLESS』1巻、佐藤宏海『いそあそび』1〜2巻、白井弓子『大阪環状結界都市』1巻、川村拓『事情を知らない転校生がグイグイくる。』1巻、臼井ともみ『キューブアーツ』1巻、山田金鉄『あせとせっけん』1巻、瀬戸口みづき『ローカル女子の遠吠え』1巻、手島史飼『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』1巻、大見武士『かみくじむら』1巻、ゴトウユキコ『36度』、山名沢湖『結んで放して』、衿沢世衣子『ベランダは難攻不落のラ・フランス』『制服ぬすまれた』、森山絵凪『この愛は、異端。』1〜3巻、灯台守『イギリスと世界の料理に挑戦』1〜2巻、昆布わかめ『ジャヒー様はくじけない!』1〜3巻、KAKERU『科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌』1〜3巻、押見修造『ハピネス』1〜9巻、殆ど死んでいる『異世界おじさん』1巻、おいもとじろう『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』1巻、結城鹿介+髭乃慎士『社畜が異世界に飛ばされたと思ったらホワイト企業だった』1巻、小林まこと+恵本裕子『JJM 女子柔道部物語』1〜5巻