弦念丸呈『日本人になりたい――青い目の私が政治家を志した理由』

作者の弦念丸呈(ツルネン・マルティ)はなかなか面白い経歴を持っている。彼は今でこそ立派な日本人であり民主党の議員であるが、昔は民主党の議員どころか、(一瞬でわかると思うが)日本人ですらなかった。ツルネン・マルティは元々フィンランド人宣教師だったのだが、キリスト教の「布教」とは別の形で(もっと日本社会に溶け込んで)他人に奉仕したいと思うあまり、教会を捨て、家族を捨て、日本に定住することにしたのだそうだ。結局それが高じて日本に帰化しているようで、政治家としての活動も奉仕精神の延長なんだそうだ。本書を読む限り、日本を良くしたいという熱意はネイティブの日本人よりも強いだろう。