岡田斗司夫『オタク学入門』

岡田斗司夫は自らをオタクとキング(王)の造語である「オタキング」と称し、オタクであることにおいて他の凡庸なオタクを全く寄せ付けない。またオタクの斬新な視点を人々に紹介し、一般の人々にオタクを認知させ、市民権を与えた人でもある。俺は好きだ。

俺が本書で最も面白かったのは2章の「世界のオタクを探せ!」である。この章では、世界的な有名人のオタクっぷりが暴露(?)されている。かのマイケル・ジャクソンは、自宅の豪邸の地下にディズニーランドの『カリブの海賊』というアトラクションを完璧に再現し、自分が出演したTVのスクリーンには『赤い光弾ジリオン』と『新バビル2世』という誰も知らないようなアニメをデカデカと映し、来日の際には原宿のキティランドを借り切って超合金系ロボ玩具を買い漁ったらしい。マイケル・ジャクソン恐るべし、である。またクェンティン・タランティーノは、わざわざパリで『ジャングル大帝』のLDを買い、『パルプフィクション』という映画の撮影中にはブルース・ウィルスに毎日「フランス語版のジャングル大帝では、レオは『ボンジュール・パパ』なんて言うんだぜ」と言うようなオタク話を毎日して嫌がられたらしい。しかも映画祭ではアニソンを熱唱。アンタ漢だなあ……。その他にも、日本でも名の知れたミュージシャンである(らしい)マシュー・スイートが腕の「ラムちゃんの刺青」を見せびらかしながら日本の音楽雑誌のインタビューに答えたという話も載っているし、紀宮様や皇太子のオタクっぷりも紹介されている。あまりにアツい本である。

横道にそれまくったが、他にも「オタクが何を基準に作品を鑑賞するか」とか「オタクから見た週刊少年漫画雑誌の栄枯盛衰」と言った趣の話とか、見るべき箇所は多い。わりとオススメ。