高岡英夫『「余分な力」を抜けば、人生が変わる!』

高岡英夫は、武道や一流スポーツ選手の体の動かし方に注目することで体系化した「運動科学」なるものを唱え、効果的な体の動かし方をするための「ゆる」や呼吸法など、様々なメソッドを広めている。高岡英夫は今かなり注目されている人のようで、本書は「ゆる」を初めとした高岡メソッドの入門書となっている。

人間は知らず知らずのうち体が硬直している。立っているときに限らず、寝ているときやリラックスしていると思いこんでいるときも、実は体の様々な部分に余計な力が入っている。しかしイチローやマイケル・ジョーダンやタイガー・ウッズやジダンなど、超一流のスポーツ選手は体に余計な力が入っているなんてことはなく、リラックスしている。ことごとく体がゆるんでいる。イチローの形容しがたい独特のしなやかさは野球好きなら誰でも思い当たるだろうし、マイケル・ジョーダンの「舌出し」は有名だ。彼らは体がゆるんでいるからこそ高いパフォーマンスを発揮することが出来るのだ――というのが高岡英夫の主張である。

本番で緊張しすぎて体や頭が思うように動かなかった経験なんかは誰にでもあるだろう。体を「緊張」つまり必要以上に硬直させることが高いパフォーマンスを阻害するということは、確かに普段の生活の中で実感できることだ。ならば剛構造ではなく柔構造の体にシフトさせることで、自分の肉体や頭脳をきちんと機能させることが出来るようになれば良い。それを実現するためのメソッドが、「ゆるむ」「ゆする」「ゆれる」に共通する文字を取った「ゆる」なのである。

俺自身、単に体が硬いというだけでなく、やはり体の余計な部分に力が入っていると確かに思う。ここまでは本書の内容は腑に落ちる……が、体をゆるませるための「ゆる体操」が全然できない。骨や関節がクリームのようにとろけるようなイメージで体をゆらすことで体をゆるませる、という最初の一歩が全く出来ません。その次の「内臓をゆるませる」なんて意味不明。内臓に水が溜まっているイメージとか言われても、何のことやら……。「ゆる」の基本的な概念はかなり納得できただけに、体感できないと、何か悔しい。ゆるの講座に行ってみようかな。一番最初の入門は無料みたいだし。