三好康之+井門良貴『SEという仕事――上司の考えること、部下の考えること』

第3章は読まなくても良いが、第1章と本書の大半を占める第2章は非常に興味深い。第2章では、約1年間のケーススタディが書かれているのだが、これが非常に面白い。新人SEからベテランプロジェクトマネージャ・営業・管理職・顧客側など、キャリアも性格も能力も異なるSE業界の様々な人物の状況や葛藤が描かれている。約1年間に渡るケーススタディの中では、色々なことが起こる。そのため、ひとつひとつの問題点や解決策を詳細に検討しているわけではない。しかし、それぞれの状況やそれぞれの人物に対して、簡単なアドバイスや知識の整理・参考文献の提示などがあり、それらはSEという仕事や異なるポジションの人々の考え方を理解するのに非常に役立つ。読みやすいのもGOOD!

なお第1章は、SEという仕事がどのようなもので、SEに必要とされるスキルがどのようなものか、そういったことについて述べられており、ケーススタディの設定も載っている。

全体的に読みやすく、特定の知識がなくても難しいところはほとんどないが、その割に満足感は高い。オススメである。