重松清『疾走(上)』

疾走 上 (角川文庫)

疾走 上 (角川文庫)

寡黙な父、気弱な母、地元でも有数の進学校に通う優秀な兄。そして陸上に打ち込む中学生の少年シュウジ。ささやかで平凡な家族と言えるだろう。しかし優秀だったはずの兄は「赤犬」になり、家族も、バラバラに壊れる。少年は世界の悪意を一身に受け、苦難に満ちた苛烈な人生を歩み始める――。
家族や地域社会・人と人との関係性といったモチーフは変わらないものの、今までの重松清とは違う、暴力や悪意に満ちた物語である。しかし、震える。面白すぎて必読。