西原理恵子『はれた日は学校をやすんで』

はれた日は学校をやすんで (アクションコミックス)

はれた日は学校をやすんで (アクションコミックス)

毒舌まみれの超アウトロー作家にして、抒情モノを描かせても天下一品な、サイバラの自選作品集。
アウトローモノから抒情ものまで振幅が大きいが、表題作「はれた日は学校をやすんで」はやはり良い。皆と同じ制服や皆と同じように学校に行くことが嫌でたまらないが、悩んでも仕方ないからと言って割り切ることができない――といった神経質で潔癖な感情は、強く共感できる。抒情たっぷりに描かれていて、どうにも心を揺さぶる。しかし本作は何と「小学六年生」に連載されたそうである。まさに抒情とアウトロー。西原理恵子の真骨頂を小学六年生に読ませた編集サイドを俺は尊敬したい。
しかし何と言っても本書の白眉は「はにゅうの夢 第4話 ジョン」である。最近あまり面倒を見てやれなかった、老いた愛犬の死を看取る少年の物語――これは泣ける。つーかこれで泣けなかったら嘘。