ゆうきまさみ『機動警察パトレイバー[文庫版]』11巻

機動警察パトレイバー (11) (小学館文庫)

機動警察パトレイバー (11) (小学館文庫)

リーダークラス(後藤喜一VS内海)の互いの駆け引きと、互いのレイバー(イングラムVSグリフォン)の最終決戦は、非常に見どころがある。アニメ版と比べて喜劇色が薄く、全体的にアニメ版の方が面白いように思うが、それでもなおクライマックスの冴えは「さすがゆうきまさみ」と言ったところである。グリフォン編に関してはどうにも消化不良を思わせたアニメ版と違い、漫画版ではそれなりにきっちりとした決着をつけている。Wikipediaに興味深い情報があったので、引用したい。

物語の終盤に於いて、漫画版とアニメ版では異なる展開を見せているが、これはゆうきの個人的判断であったことがとり・みきとの対談中、本人によって明らかにされている。ゆうきは「少年漫画誌で連載されている以上、本質的に「悪人」であるシャフトの人間達にはそれなりの最後を用意すべきである」と考えたのだと言う(出典『マンガ家のひみつ』徳間書店 1997年6月 ISBN 4198606994)。

もちろん漫画版も、悪役が一網打尽に捕まったり死んだりしたわけではないが、これくらいは物語として決着させて良いと確かに思う。個人的にはアニメ版のような「遊びの部分」がもう少し読みたかった気もするが、第二小隊の面々の成長も感じられ、良い終わり方だったのではないだろうか。