
- 作者: 古屋兎丸,東京グランギニョル「ライチ光クラブ」
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2006/06
- メディア: コミック
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残念ながら「東京グランギニョル」のことは全く知らないが、本書の「あとがき」には「東京グランギニョル」や「ライチ光クラブ」公演時のことが詳しく書かれている。何でも、カルト的な人気を誇る劇団だったようで、丸尾末広が宣伝美術を担当していたとか。「あとがき」の内容と、丸尾末広が関わっていることから、「ライチ光クラブ」は怪しげで耽美的で暴力的でマニアックなギミックに溢れた雰囲気だったのだろうと想像しているが、『帝都物語』の魔人・加藤保憲も演じた嶋田久作が「機械」のライチ役だったというのは(今さら公演を観るのは不可能だが)ちょっと興味がある。
本書は、ストーリーや細かなモチーフについては手を入れているようだが、「あとがき」を読む限り、古屋兎丸が受けた衝撃は、こちらにもビンビン伝わってくる。怪しげで、耽美的で、暴力的で、マニアックな――。グロテスクな描写が多いので、そういうのがダメな人にはオススメできないが、古屋兎丸の中でも屈指の作品である。今までは古屋兎丸の代表作は『Marieの奏でる音楽』と答えてきたが、今後は本書を推薦するのも悪くない。