永山薫『エロマンガ・スタディーズ 「快楽装置」としての漫画入門』

エロマンガ・スタディーズ―「快楽装置」としての漫画入門

エロマンガ・スタディーズ―「快楽装置」としての漫画入門

特にエロ漫画に詳しいわけでも高い関心を持っているわけでもないが、山本直樹に関する記述を読んでみたかったので、購入した。しかしながら、俺がたまたま本屋でページを開いたところ以外、山本直樹に関する記述はほとんど見受けられなかった。
ところで表紙の少女絵を見て「これは町田ひらくだ」と気づいた人は、立派なエロ漫画マニアかもしれない。俺はエロ漫画マニアではないが、実は町田ひらくのことは知っているし、一目見て町田ひらくの絵だとわかった。町田ひらくは知る人ぞ知るロリコン漫画家であり、この世界ではカルト的な人気を誇っている。俺は町田ひらくの漫画が面白いとは思わないし、エロいとも思わないのだが、町田ひらくが興味深いのは、エロ漫画としてではなく、むしろサブカル寄りの漫画読みに受けていた(あるいは受けている)という点だ。女性の読者もかなり多いらしい。少女が蹂躙されるロリコン漫画がオタク女性やサブカル好きの女性に誤配されているという著者の指摘は「その通り」だと思うが、その理由をもっと掘り下げてほしかった。
その意味では、半ば衝動的に購入したものの、俺が知っている数少ないエロ漫画家2人に対する言及が非常に少なく、買った価値はほとんどなかった。残念。