土屋清美『基礎から学ぶSEの金融知識』

基礎から学ぶSEの金融知識

基礎から学ぶSEの金融知識

金融SEや金融サービス従事者に向けて書かれた金融業務・金融システムの入門書。本書の構成は以下の通り。

第1章:金融業会の基礎知識
第2章:金融マーケットの基礎知識
第3章:金融業務の基礎知識
第4章:フロントシステム
第5章:バックシステム
第6章:ミドルシステム
第7章:情報系システム
第8章:一流の金融SEを目指そう!

俺は今まで金融系SIにて銀行向けALMシステムやリスク管理システム・管理会計システム等の営業&カスタマーサポート&システム導入を経験してきたが、本書は「俺が新人のとき(営業職)に知りたかったこと」が実に網羅的にまとめられている。まあ中には、ちょっと違うのではという箇所や、俺の実感や経験と少し異なる説明、そこまでざっくり説明したら本質が伝わらないよと思う箇所もある。ただ、それでもなお類書と比べると親切で良い入門書だ。わかりにくい箇所もほとんど無い。
俺も(ペーペーなので部下はいないまでも)後輩は何人かいるので、金融業務に係る参考図書や入門書を紹介してくれと言われることがある。自分の経験と照らし合わせ、金融系SI(非勘定系)で地域金融機関向けシステム営業をやることになった後輩に3冊ほど参考図書を挙げるなら、小泉保彦『SEのための金融入門』と本書は絶対に推薦するであろう。残り1冊は、その人の業務内容やスキル・嗜好に合わせて、統合リスク管理研究会『銀行員のための統合リスク管理入門』や、多胡秀人+長浜裕士『地域金融機関はなぜ強くなれないか』、角川総一『時代即応版 金利が上がるとどうなるか』あたりをチョイスすれば良いかなあ。さらに、リファレンスとして銀行経理問題研究会『銀行経理の実務』あたりは手元に置きたいかな(俺もリファレンスとしてしか読んでいないが)。
まあリスク管理については(新BIS規制/バーゼル規制の絡みもあるので)当局のペーパーをじっくり読むのが最も参考になるし、管理会計についてはクライアントに教えてもらうのが一番、という話もあるかもしれないが。