細野不二彦『ギャラリーフェイク』6巻

ギャラリーフェイク (6) (ビッグコミックス)

ギャラリーフェイク (6) (ビッグコミックス)

細野不二彦による傑作美術漫画。主人公の藤田玲司(フジタ)は、かつてはニューヨークのメトロポリタン美術館 (MET) の敏腕キュレーターで、卓越した修復技術や豊富な知識から「プロフェッサー(教授)」と称えられるほどの尊敬を集めていたが、元同僚の陰謀によりメトロポリタンを追われ、帰国。現在は、表向きは贋作やレプリカといったニセモノを専門に扱う「ギャラリーフェイク」という画廊(アート・ギャラリー)の経営者だが、裏ではブラックマーケットに通じ、盗品や美術館の横流し品を法外な値で売る悪徳画商という噂であり、その噂は完全に真実である。しかし一方で、メトロポリタン時代から一貫して美に対する真摯な思いを持ち続け、美の奉仕者としての面も持つ――という設定。Q首長国クウェートがモデルの模様)の王族の娘であるヒロインのサラ・ハリファや「美術界のジャンヌ・ダルク」と呼ばれる三田村館長など、脇役も非常に魅力的である。
この巻には以下のエピソードが収録されている。

ART.1 窓際の番人
ART.2 黄金郷(エルドラド)への誘(いざな)い(前編)
     黄金郷(エルドラド)への誘(いざな)い(後編)
ART.3 二人の嫌われ者
ART.4 五爪(ごそう)の龍
ART.5 上海の青銅
ART.6 呉越相愛
ART.7 ピカソの鳥
ART.8 縄文土面

「黄金郷(エルドラド)への誘い」は、トレジャーハンターであるラモスの嗅覚を信じてトレジャーハントに出かけるエピソード。明らかに吉村作治をモデル(パロディ?)にしたキャラクター・吉岡教授が、コミカルな面と「考古学中毒者(ジャンキー)」だと自分のことを語るシリアスな面の両面で大活躍。このスペクタクルは前後編ではもったいないね。5回くらいに膨らませても面白かった。