藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版 (2) (SF短編PERFECT版 2)
- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2000/08
- メディア: 単行本
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シリーズ第2巻には以下の作品が収められている。
休日のガンマン
定年退食
権敷無妾付き
ミラクルマン
ノスタル爺
コロリころげた木の根っ子
間引き
箱舟はいっぱい
アン子 大いに怒る
やすらぎの館
ポストの中の明日
どことなくなんとなく
ボクラ共和国
子どもの頃に読んで特に衝撃を受けたのは「コロリころげた木の根っ子」や「やすらぎの館」だが、これらは改めて読み返しても改めて鋭い着想である。亭主関白というよりは典型的な暴力夫の作家は、何かあるとすぐに(というか何もなくとも)妻をビシバシ殴り蹴飛ばしている。そんな生活が20年も続いているが、妻は甲斐甲斐しく夫の世話を焼いている。そんな妻を夫は心の底では感謝し、愛している。妻も自分の心をきっと分かってくれているから、度重なる暴力にもかかわらず20年も連れ添ってくれているのだ、と夫は編集者に語っている。しかし妻の方は……というアウトライン。これは怖い。「やすらぎの館」は、ストレス社会の新しい「癒しサービス」に通い始める会社社長の話。
表題作「定年退食」は切なくなるなあ。しかし荒唐無稽な話では全然ない。
なお巻末には北村想(劇作家)によるエッセイ「巻末二人芝居 我が名はF」が収録されている。