博報堂ブランドコンサルティング『サービスブランディング』

探索的な読み方なので、通読して感想をエントリーする本は少なくなるけれども、少し前から相当量のブランド関する本に目を通している。痛切に感じたのは、ブランディングに関する本の多くはメーカー向けだという点である。俺は今「サービス業のプレミアムビジネスの在り方」について検討しているのだが、名だたるブランディングの本も大半がメーカー向けで、いわゆるブランドショップや高級サービスショップには上手く当てはまらないことが多い。しかし本書は、徹底的にサービス業にフォーカスしてブランドを論じている。

解説時のフレームは豊富で、少し多すぎるようにも思うのだが、読み手としては色々な観点が盛り込まれていて使い勝手があるとも言えるだろう。俺が参考になったフレームを3点だけピックアップするので、興味のある方は本書を手にとっていただきたい。

  • 製品と異なるサービス業特有のブランディングの特徴を 無形性:差別化の難しさ/変動性:品質管理の難しさ/複合性:見極めの難しさ/継続性:応え続けていく難しさ の4点に集約(フィリップ・コトラー『コトラーのプロフェッショナル・サービス・マーケティング』から拝借している模様)
  • サービス業の形態から、「店舗−非店舗」と「契約−非契約」の2×2のマトリックスで分類し、そのタイプごとにポイントを解説
  • マーケティング・ミックスのフレームとしては 製品(Product)/価格(Price)/プロモーション(Promotion)/流通(Place) から成る4Pという類型があるも、これは製品マーケティングを対象としており、サービス業特有の条件として 人(People)/物的環境(Physical evidence) を加えた6Pを提唱

繰り返すが、サービス業のブランディングという観点で語られた本自体あまり多くない。また博報堂ブランドコンサルティングはブランドに関する本を数多く出しており、この世界でのメジャープレーヤーだと想定される。サービス業のブランドビジネスに興味のある方は読んでみて損はないと思う。