佐藤秀峰『新ブラックジャックによろしく』3巻

研修医(斉藤英二郎)が目にする日本の大学病院や医療現場の現状を描いた傑作漫画。斉藤は研修の配属先で毎回騒動を起こすが、それらの騒動は、ことごとく日本の医療が抱えている深い暗がりに足を踏み入れてしまう――というアウトライン。
繰り返しになるが、移植編、どうもイマイチだな。「医者である斉藤がドナーとなって赤の他人に移植する」という流れが、現実離れしていて、どうしてもピンと来ないのである。もちろんその移植相手は斉藤と無関係な人間などではなく、本作の最初から何度も何度も登場している女だ。しかし、血縁でも家族でも恋人でもない。こんなこと、たとえ「漫画」だとしても、あり得ないだろう。作者は斉藤に何をさせたいのだろうか?