
日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門 もう代案はありません
- 作者: 藤沢数希
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2011/10/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この人は基本的に資本主義・グローバリズムの信奉者で、今以上に自由主義を押し進めることで世の中はきっと良くなるという信念を持っている。
例えば、アフリカの貧しい国々は先進国が「搾取」するから貧しいのだという論調がよく聞かれるけれど、それは事実に反していると著者は言う。インドや中国・ベトナムなどは先進国に搾取されているからこそ発展しており、逆にアフリカや東南アジアの最貧国はグローバルな市場経済に取り込まれず、取り残されているからこそ貧しいのである。今は、アフリカの最貧国がいくつか地球上から消滅したところで、世界の先進国もグローバル経済も何ら影響がない、と。
つまり貧しさの一番の理由は「世界の貿易体制に組み込まれていないこと」であり、だから著者の考える貧困問題の解決策は、たとえ一時的に「搾取」構造に見えようとも世界経済に貧困国を組み込むことだ、ということになるだろう。
(単純化し過ぎている気もするが)確かにその通りだと俺も思った。そして本書を読むと、「搾取」という言葉ないし概念が、弱者とされている存在を守るための都合の良いマジックワードであることがよくわかる。*1
日本の財政問題に対する解決策についても俺は基本的に賛成である。すごく簡単に言えば、著者の考えは消費税+法人税+所得税をフラット10%にしろというものだ。そうすることで、金持ちにも貧乏人にもフェアで、税金の取りっぱぐれも少なくなり、海外の金持ちが日本に流入して日本で金を落としてくれる、という考えだ。
日本の政治家はすぐに消費税を悪者扱いするが、俺はそもそも消費税にケチをつける人の意図がよくわからない。消費税は実に平等である。貧乏人に厳しいというが、とんでもない。金を使わなければ税金が取られないのだから、優しいとは言えないものの金持ちにも貧乏人にもフェアな制度である。ビジネスにおいても、簡単に操作できる利益よりも、経済活動そのものに対して課税できる消費税の方がフェアだと思う。
また法人税や所得税をフラット税率にするのも俺は賛成である。金持ちにも貧乏人にもフェアだし、そもそもわかりやすい税の仕組みにすべきだと思うからである。