- 作者: とよ田みのる
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/10/12
- メディア: コミック
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とよ田みのるのデビュー作。
誠実かつ正直だが、杓子定規すぎて時にエキセントリックな言動になってしまいがちな星野くんと、ボーイッシュでツッコミが得意な根岸さんの2人を中心とした、イマドキ時代錯誤なほど真っ直ぐな高校生カップルによるコメディ漫画である。人付き合いや考え方が直球過ぎてそれが味わい深いコメディになるのだが、それが更にもう一周して、(単なるコメディではなく)じんわり温かい気持ちになれるハートフルな作品だ。
絵柄はこんな感じ。デッサンが巧いタイプではないが、シンプルで読みやすい。またコント的なボケ・ツッコミを巧く織り交ぜたテンポのある話で、この1ページだけでもクスッと笑ってしまう。
なお元々アフタヌーンで連載された作品なので講談社からコミックスが出ていたが、新装版はなぜか小学館から。ということは、講談社はこの大傑作を絶版に? 講談社の感性を疑うしかないね。
さて以前(講談社版)の紹介の時も書いたのだが、1巻のお気に入りのやり取りを再掲。こちらはページ数が多くなるので文章だけの引用。興味を持った方はぜひ買ってほしい。
【星野くん】
愛ってなんでしょうかね?
【根岸さん】
え?
【星野くん】
……人を『好き』という行為が 利己的にしか思えないときがあるんです
無償の愛なんてものが存在するんでしょうか?
【根岸さん】
……星野くん なんか重たいよ
なんかあったの?
【星野くん】
いえ 俺が言いたいのは ようするに……
根岸さんに俺のお弁当を作ってもらいたいんです!!
【根岸さん】
最初っからそう言えー!!!!
【根岸さんの友達】
今日も平和ね
そして2人はドタバタワーワーしながら「愛とは」「性欲とは」「日常とは」と正直すぎるほどに語り合い、ドタバタワーワーから生まれた愛の気持ちや喜びや嫉妬を、これまた正直に語り合う。2人は、2人が違うからこそ互いに惹かれ合うんだということを互いに再確認し合いながら、お互いの気持ちを深め合うのである。
【星野くん】
(根岸さんの作ったお弁当を食べて)見た目通りマズイです
でも最高に嬉しいですよ
【根岸さん】
「でも」かよ!!
【星野くん】
世の中もっと大変なことありますよね?
【根岸さん】
へ?
【星野くん】
それに比べたら お弁当なんてささいなことじゃないですか
【根岸さん】
まーね?
【星野くん】
でも俺たちにとっては一大事ですよね
「ラブコメ」の表現が一回りするとこうなるのか……と当時は随分衝撃を受けたものだが、いま読み返してもやはり面白く、そして新しい。断言する、ド真ん中ストレートは強いのである。