インキュベ日記

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沢木耕太郎『人の砂漠』

人の砂漠 (新潮文庫)

人の砂漠 (新潮文庫)

本書は、沢木耕太郎ルポルタージュである。
なかなかの分厚さと地味な装丁だが、内容は見た目に劣らず本格派だ。孤独死やミイラ死体の問題を取り上げた「おばあさんが死んだ」を初めとして、元売春婦・革命家・詐欺師など刊行後30年以上を経た今もなおアクチュアルなテーマが選ばれている。テーマ選定だけでなく、その掘り下げも本格的で、取材対象に変に遠慮せず、ガンガン暴き、ガンガン書いている。単なる暴露本的な下品な本は数多あるけれど、ルポルタージュとしてここまで遠慮せずに書いて問題の核心に辿り着こうとする書き手は、今も昔も少ない。