- 作者: 池上彰
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2014/04/03
- メディア: 単行本
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だから本書も、電車の中での暇潰しというつもりでさしたる期待もせずに購入したのだが、思った以上に面白かった。本書は、実学志向に偏った現在の大学教育に対して、教養(リベラルアーツ)こそが新しいものを生み、仕事や人生を豊かにしていくのだという強烈な主張に基づいて編集された対談集である。特に哲学者である桑子敏雄が、そのバックグラウンドを活かしながらダム問題や河川工事といった公共事業に係る役所と地域住民の合意形成に携わっているエピソードには、大きく衝撃を受けた。確かにこれは、「正しさ」「ロジック」「プレゼン力」といったことだけでは解決できない問題であり、それを解決するには人格の力……つまり教養が必要になると思う。じいさんしか出てこない本だが、刺激は強い。