機本伸司『彼女の狂詩曲 穂瑞沙羅華の課外活動』

彼女の狂詩曲―穂瑞沙羅華の課外活動 (ハルキ文庫 き 5-8)

彼女の狂詩曲―穂瑞沙羅華の課外活動 (ハルキ文庫 き 5-8)

神様のパズル (ハルキ文庫) パズルの軌跡―穂瑞沙羅華の課外活動 (ハルキ文庫) 究極のドグマ―穂瑞沙羅華の課外活動 (ハルキ文庫) 彼女の狂詩曲―穂瑞沙羅華の課外活動 (ハルキ文庫 き 5-8)
天才女子高生・穂瑞沙羅華と凡庸な主人公の活躍を描く、『神様のパズル』『パズルの軌跡』『究極のドグマ』に続くSFシリーズ第四弾。
まず第一作『神様のパズル』では、物理学を手がかりに「宇宙を人工的に作ることは出来るか」というテーマでSFを展開した。次に第二作『パズルの軌跡』では、脳科学を手がかりに「幸福を人工的に作ることは出来るか」というテーマでSFを展開した。そして第三作『究極のドグマ』では、生命科学を手がかりに「天才児を人工的に作ることは出来るか」というテーマでSFを展開した。
さて、第四作となる本書は……SF的なテーマは何だろう。これまでのように「○○を人工的に作ることはできるか」という命題を明確に設定できない。一言で書き表せない重層的なテーマになってきたのかもしれないし、プロットが絞り込まれていないということかもしれない。
未知の素粒子発見を目指して建造された巨大加速器“むげん”の事業仕分けを回避するというストーリーは明確なんだけどね。