
デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論―潜在能力を活かせない「日本病」の正体と処方箋
- 作者: デービッド・アトキンソン
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2016/12/09
- メディア: Kindle版
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日本が発展してきたのは、日本人が優秀だったからでも勤勉だったからでもなく、単に人口が多い国であったからである。また戦後日本の驚異的な復興・成長を支えたのは、生産性ではなく、単にベビーブームによる人口増加の恩恵と、円ドルの為替の恩恵である……一言で書くと、著者の主張は「人口」と「為替」に集約される。
なかなか衝撃的な展開だが、正直、日本人の労働生産性が高いというのは(生産性の定義にもよるが)どうにも嘘くさいし、あながち間違ったことは言っていないだろうと思った。
しかし人口と為替に完全に集約してしまうと、別に過去の日本を美化するつもりは全然ないのだが、果たしてそれだけなのかという思いもある。人口が増えて貨幣価値が強くなる国はアジア・アフリカを中心に多くあるわけだが、全てが日本のように経済大国の仲間入りをしているわけではないからだ。まあ時間とともにいずれはそうなるのかもしれないし、別に日本人だからと言って日本の過去を特別視するつもりはない。