小松貴『フィールドの生物学14 裏山の奇人 野にたゆたう博物学』

フィールドの生物学14 裏山の奇人 野にたゆたう博物学

フィールドの生物学14 裏山の奇人 野にたゆたう博物学

この人は凄い。決して超エリートというわけではないのだが、子供の頃から生き物が大好きで、大学時代も毎日毎日大学近くの裏山で朝から晩まで生き物を観察し続けて、(マナーの悪い人がたくさんいたせいで)余所者に厳しい地元民の信頼も勝ち取り、まさにフツーの裏山で幾つもの発見をして論文に繋げていく。そして今は好蟻性昆虫という非常に興味深い昆虫の生態を研究しているのである。

この人にも、『バッタを倒しにアフリカへ』を書いた前野ウルド浩太郎と同じくポスドクの問題が厳しく横たわっているのだが、この人こそ大学で研究すべき逸材である。なぜなら、この人は(おそらく)我々のようなリーマンとしてはバリューを発揮できないであろうから。まさに適材適所と言って良い。こういう人が気持ちよく生きていける、「遊び」のある世の中であってほしい。