
- 作者: あずさ監査法人金融事業部
- 出版社/メーカー: 中央経済社
- 発売日: 2018/04/18
- メディア: 単行本
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IFRS第17号(IFRS17)の解説書。
知らない人は「IFRS17」とは何の呪文だと思われるかもしれないが、まあ呪文である。わたしは公認会計士でも何でもないので、細かい厳密さをすっ飛ばしてざっくり書くことにするが、まず、お金の処理のルール(会計処理)のルールは、実は国ごとに違いがある。例えば、どの時点で売上が立つか、利益の基準、不動産の評価の方法、などなど。また、年代を減るごとに少しずつ変わっていく。けっこう有名なところで言うと、昔の日本は、上場株式を「簿価」で管理していた。購入した時点の価格をずーっと会計上は保持しているわけである。でも上場株式の株価というのは上がったり下がったりするわけで、だから10〜20年前に購入したような株式は、場合によっては購入時の株価と実態的な価値には10倍以上の開きが出てくることもあった。それを「含み益」「含み損」なんて言っていたわけである。でも普通に考えると、財務諸表は企業の財務実態を出来るだけ適切に表しているべきで、最近では上場株式は購入時の価格(簿価)で据え置くなんてことはせず、年度末に、その時の実態的な株価(時価)に置き換えて、その差額は利益もしくは……。
うん、やめよう。偉そうにこんなの説明することに何の意味もない。興味のない方は死ぬまで興味を持てないだろうし、興味のある方は正しい定義で勉強すべきだ。実のところ、わたしも仕事で必要だから勉強しているだけで、個人的には「興味ありません」派とまでは言わないが、それに限りなく近い「よしなにやってくれ」派である。
要するに、繰り返すが、お金の処理のルール(会計処理)のルールは、実は国ごとに違いがある。あるんだが、それを国際的に統一することで、国をまたいだ企業間の比較を容易にしようという流れがある。その流れを汲んで作られた国際共通の会計ルールが国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)、通称IFRSである。そして、その中でも保険契約(生命保険とか損害保険とか、まあ色々)について定義したものがIFRS第17号と呼ばれている。そのIFRS17を解説したのが本書になる。あ、最初の話に戻ったね。
まあこんな本は1000冊も売れてないんじゃないかな。会計士が買うだろうと思われがちだが、会計士は必ずしもこの手の解説書は買わない。条文をそのまま読むのが三度の飯より好きな方もいるので。