グレッグ・マキューン『エフォートレス思考 努力を最小化して成果を最大化する』

『エッセンシャル思考』の続編である。

前作は、時間を最小化して成果を最大化することがテーマだったが、今回は努力を最小化して成果を最大化することがテーマである。まさに「エフォートレス思考」だ。

内容は……悪くはない。ないんだが、最近わたしが海外のビジネス書や自己啓発書の多くに感じている不満を再認識してしまった。

わたしが海外のビジネス書や自己啓発書の何に不満をいだいているか?

ダラダラ長ったらしいのである。

メッセージがふんわりと観念的で、方法論が希薄だ。それを補うために、しつこく事例が出てくる。

でも最初からメッセージを刈り込み、方法論を具体的に書けば、グダグダグダグダ事例で補って「何となく」納得させる必要もなくなるのである。

例えば、第5章のテーマは「NOTICE(集中)」である。しかし集中するための具体的な方法論が出てこない。その代わり、シャーロック・ホームズが集中して観察することの重要性を説いていたとか、NBA選手のステフィン・カリーは小柄だが認知能力を高めるための特別訓練をこなして成果を出したとか、その他にもとある医師の態度が一人の少年の人生を変えただの、判断ではなく傾聴すべきだの(言わんとすべきことはわかるがそれをするとどうメリットがあるのか、それをするにはどうアクションすれば良いのかはふんわりしたままである)、とにかく核心にズバッと切り込んだ感じがないまま終わる。

集中とは何なのか?

集中することで何が得られるのか?

集中するために具体的に何をすれば良いのか?

それらがふんわりとした事例でもやもやと語られる。

もちろん全ての本がそうではない。だが、例えば『ビジョナリー・カンパニー』や『イノベーションのジレンマ』といった高評価のビジネス書も同様で、とにかく事例がダラダラ、ダラダラ、ダラダラと続く印象をわたしは持ってしまう。数行もしくは数ページでまとめたエッセンスがあれば十分だなと。

多くの本で同じような感想を持つので、最近は海外のビジネス書や実用書を避けがちになっている。