三上延『ビブリア古書堂の事件手帖 〜扉子と不思議な客人たち〜』

『ビブリア古書堂の事件手帖』は一応7巻をもって完結したのだが、スピンオフというか、後日談というか、続編というか、とにかく新しいシリーズが始まった。その新シリーズの第1弾が本書である。

これまでは、篠川栞子しおりこというヒロインと、五浦大輔というヒーローが主役だったのだが、二人は結婚し、その娘が扉子とびらこである。文学少女の割に自分の娘になんつーネーミングセンスだと言いたくなるが、まあ作り話だし仕方ない。そもそも扉子の祖母は篠川智恵子、その娘が栞子と文香あやか、栞子の娘が扉子である。ネーミングの差が酷い。

扉子もまた、祖母・智恵子や母・栞子の血を引き、本に対する並々ならぬ執着を子供の頃から持っている。栞子はそういう(母親譲りの)自分が嫌だった筈なのに、娘の成長に何の影響も及ぼせてないなーと、この辺のキャラ造形にはかなりの違和感を持った。あと正直、扉子の年齢次第ではあるものの、栞子はもうフツーに30歳とか35歳とか40歳になっている筈で、古書店としての経験もかなりの年数である。それなのに未だに夫を紹介するだけで赤面するとか、ビミョーなイチャイチャをするとか、結構な違和感というか気持ち悪さがあって、新シリーズをどこまで楽しめるかは正直やや自信がない。