角幡唯介『裸の大地 第二部 犬橇事始』

この世界でほとんど消え失せた冒険・探検の意味や意義を考えさせてくれる稀有な作家なのだが、近年は「漂白」や「狩り」をテーマに新シリーズを執筆している。しかし本作は凄い。犬橇というもののイメージ、そしてエスキモー(敢えてイヌイットではなくエスキモーと呼ぶが、その理由も本作を読めばわかるはずである)のイメージ、犬と共存することのイメージが塗り替えられる。

お涙頂戴で受け止めたくはない。可哀想という言葉など以ての外である。しかし強烈に胸を打つ。

著者の冒険や探検・極地に関する哲学的・観念的な考察も一層の深みに入った。

これは面白いわ。