『STEINS;GATE HD(シュタインズ・ゲート HD)』@PS4

数年前に人気を博した『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』の正統続編である『STEINS;GATE 0(シュタインズ・ゲート ゼロ)』が発売。しっかり予約して発売日にゲットしたところ、元々PSP版でプレイした『『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』のHD版が封入されていたので、ゼロの前に改めてプレイしてみた次第。

シュタゲをプレイしたのはもう3〜4年近く前だったので、大まかなストーリーは覚えていたものの、細かいところはかなり忘れており、改めてドハマりした。この手の数多くの伏線が張り巡らされている作品は、どこまで説明して良いものか非常に迷うが、ネタバレしない程度に簡単に説明しておこう。
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まずゲームジャンルは、科学アドベンチャーシリーズと銘打たれたアドベンチャーゲーム(ADV)である。アドベンチャーゲームというのは、ゲーム黎明期に流行った『弟切草』や『かまいたちの夜』という名作ゲームの名前でピンと来る方もいるだろうが、要は「読み物ゲー」である。それら名作ゲームを知らない方は、あるいは、その昔「ゲームブック」という本があったのを覚えている方がいるかもしれない。文章を読んでいくと、「さて、あなたはAとBどちらを選ぶか、Aを選ぶ人は10ページ、Bを選ぶ人は120ページへ」みたいな遊び方をする、ストーリー分岐を組み込んだ物語のことだ。それをシステム的に実装したのがアドベンチャーゲームである。つまりコマンドをガチャガチャする必要はなく、いわゆるゲーム性には乏しいが、選択したコマンドに従ってストーリーが分岐していくので、わたしのようなゲームが下手な人間でもじっくりと遊ぶことができる。なお本作は、ストーリーの「分岐のさせ方」もけっこう凝っている。通常のアドベンチャーゲームでは文章で選択肢が表示されて、どの選択肢を選択するかによってストーリーが分岐するのだが、本作では携帯電話がキーになっており、電話をかけるか・かけないか、かかってきた着信を取るか・取らないか、メールを送るか・送らないか、送られてきたメールにどのような返信をするか……といったことでストーリーが分岐するのである。例えば、相談メールに対して返信をするかしないか、どんな返信をするかによって、その返信メールを受け取った相手の行動や親密度が変化するし、誰かと話している時に電話の着信に出ると、話している相手は不愉快な気持ちになるかもしれない。しかし相手は緊急の用で電話をかけているかもしれない……と、正直どこまでパラメータがあるのかはわからないが、電話ひとつで意外に色々と判断すべき点も多い。

さて読み物ゲーというからには、読み物としてのジャンルも示したいが、それはSFである。しかもタイムリープや、過去改変とタイムパラドックスなどを題材とした、けっこうゴリゴリの時間SFである。以下、Wikipediaの文章を参考にしつつ、ストーリーや設定をまとめておく。

主人公・岡部倫太郎(オカリン)は大学生で、同じくオタク的気質を持った高校時代の友達・橋田至(ダル)や、幼馴染みの椎名まゆりと共に、未来ガジェット研究所というサークルのようなもの(主人公たちは「ラボ」と呼称)を秋葉原に立ち上げていた。まあ営利組織でも公式な研究機関でもないお遊びサークルなので、ラボで作っているものは何ということもない代物だったのだが、携帯電話で遠隔操作可能な電子レンジ、通称:電話レンジ(仮)の機能を調整していたところ、偶然にも、先ほど受信したはずのメールの受信日付が過去になっており、。そこでオカリンやダルは、たまたま知り合った天才少女・牧瀬紅莉栖(クリスティーナ・助手)と電話レンジ(仮)の検証をした結果、どうやら本当に携帯メールを過去へと送るタイムマシンとしての機能(後にDメールと命名)を備えていたことが判明する。しかもDメールを過去に送信するたびに、メールのメッセージ内容に影響を受けた人々の過去が改変されるが、なぜか岡部の記憶だけはそのままであった。オカリンは電話レンジの改良を進めながら、ラボの仲間(ラボメン)を増やし、ラボメン達を実験台にして試行錯誤を繰り返す。その結果、Dメールにより事実上の過去改変が次々に行われるが、いわゆるバタフライ効果の影響で予想外に大規模な影響をもたらすことになる……と、ネタバレすると面白くないので、前半から中盤の最初にかけてぐらいしかまとめていないが、こんな感じの設定である。なお、前半から中盤まで、何気ない言動から膨大な数の伏線が張り巡らされており、それを後半にかけて片っ端から回収していく。その伏線とその回収の連鎖は、もはや「お見事!」と言うしかなく、非常に優れたプロットである。この手のアドベンチャーゲームは、プレイヤーの選択によってストーリーが分岐するため、いわゆる複数のエンディングが用意されているのだが(マルチエンディング)、わたしはトゥルーエンディング(真エンド、ハッピーエンドに近い概念)に至るまでに何十回と泣いてしまった。名作すぎ!

もうひとつ、秋葉原を舞台にしていることから想像がつくように、若者のオタク文化やオタクの行動様式を大きく取り入れた設定であることも目新しさであろうか。特に主人公のオカリンは、いわゆる厨二病で、最初はとにかくイタい。ここで挫折してしまう人も多いと思うのだが、これはもう、我慢して読み進めてくれとしか言えない。読み手としてはじきに慣れるし、この厨二病の設定自体が本作の大きな伏線のひとつである。また、続編の『STEINS;GATE 0(シュタインズ・ゲート ゼロ)』でも大きな伏線となっている。