雑誌の紹介
定期購読中の「本の要約雑誌」で、毎月10冊の要約(新刊8冊・ロングセラー2冊)と、6冊のプチ要約(One-Point Review)が載っている。掲載された本の一覧
今月の10冊は以下:
- 現代戦略論
- 2040年の日本 (幻冬舎新書)
- 10年変革シナリオ 時間軸のトランスフォーメーション戦略
- そのビジネス、経済学でスケールできます。
- 日の丸コンテナ会社ONEはなぜ成功したのか?
- 4段階で実現する心理的安全性
- それホントに体にいい?無駄? 「健康神話」を科学的に検証する
- 貴族とは何か―ノブレス・オブリージュの光と影―(新潮選書)
- 人はなぜ「自由」から逃走するのか: エーリヒ・フロムとともに考える
- 【新訳】積極的考え方の力
プチ要約の6冊は以下:
- 世界史を変えたスパイたち
- ウクライナ侵攻までの3000日 モスクワ特派員が見たロシア
- 超要約 哲学書100冊から世界が見える! 限られた時間で、圧倒的な知恵と多彩な考え方を手に入れたいあなたへ
- さりげなく品と気づかいが伝わる ちょい足しことば帳
- 冒険の書 AI時代のアンラーニング
- ダイアローグ 価値を生み出す組織に変わる対話の技術
杉田浩章『10年変革シナリオ 時間軸のトランスフォーメーション戦略』
今月の本で一番気になったのはこれかな。
長期的な視点で企業を生まれ変わらせることが必要という指摘はそのとおりで、そのために経営が果たすべきことは、このまとめによれば「ステージ①構造改革し、今日の競争からキャッシュを得る(持続的優位の競争戦略)」と「ステージ②未来の創造のための基盤に投資する(新市場を創造するイノベーション)」の2つである。つまり、この2つの時間軸で異なるコア事業を創造・拡大し続けることが重要だ――というところまでは誰もがわかっている一方、現実には特にステージ②が「言うは易く行うは難し」で行き詰まるのである。
さて、この行き詰まりを打破するための5つのポイントは、このまとめによれば以下の5つである。
- 長期時間軸のポートフォリオマネジメント
- 市場創造戦略のアプローチ
- パーパスを変革の軸にする
- 投資家マネジメント
- ミドルアップダウン型リーダーシップチームの組成
なるほど……全然わからん。
正直、概念論に終止しているように見える。ちゃんと買って読んだら、腹落ちできるかもしれない。
幡野武彦+松田琢磨『日の丸コンテナ会社ONEはなぜ成功したのか?』
川崎汽船・商船三井・日本郵船という大手海運3社の不審事業であるコンテナ船部門を統合して2017年に設立した新会社Ocean Network Express(ONE)が、発足5年余りなのに2連連続で2兆円の利益を上げたとのことで、その成功要因を解きほぐした本。
わたしはそもそもONEという会社の存在すらちゃんとは理解していなかったぐらいなので、アンテナ能力の低さに反省したのだが、なるほど、ONEの最大の成功要因は、「本社機能を日本から遠いシンガポールに置いたこと」のように見える。もちろんシンガポール自体が世界の海運のキモであることは言うまでもないのだが、それ以上に日本というしがらみから物理的に離したことに意味があるのだろう。何だろね、日本ってもうそういう存在なんだなと。