
- 作者: 赤名修,真刈信二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/04/23
- メディア: コミック
- この商品を含むブログを見る
とはいえ少し冷静になって言わせてもらうと、このFinalは勇午全体の評価に影響するかなり重要なシリーズである。背水の陣と言っても良い。なぜなら前回の台湾編が本当に酷かったからである。絵柄が変わり過ぎてほとんど誰だかわからない状態、主人公の人格設定もほとんど別人、ストーリーも「社会派」ぶってはいるが結局イマイチ乗り切れず、シリアスな展開に全くそぐわないコミカル表現までやらかし、空回り・上滑りのオンパレード。結局そのレベルのまま台湾編は完結してしまった。
このFinalでも失敗すると、「二人は最後、勇午に飽きて、あるいはネタも尽きて、台湾編とFinalで糞みたいな作品を出して晩節を汚したね」「そうだな、尻切れとんぼも良いところだな」「二人は20年かけて築いた勇午のファンを冒涜し、我々から小金を搾取していった挙句、最近はどちらも別の相方を見つけてよろしくやっているんだね」という評価にならざるを得ない。最後の2シリーズで糞をひり出したという評価になるか、有終の美を飾れるかの差は大きい。
なお今のところFinalの絵柄は、全盛期とまでは言わないが、かなり元に戻してきており、少なくとも台湾編のような絵柄ではないし、変なコミカル表現もない。
ただし肝心のストーリーは、(交渉人としての原点に着目したものであるが)まだ全貌や着地点が見えておらず、さて今後どうなるか、正直まだよくわからない。「共食いを引き起こすタンパク質」のようなハッタリの利いた素材も出てきているが、勇午に期待したいのはゾンビ映画の主人公でも科学者でもない。政治や宗教や信条が複雑に絡み「お互いが引くに引けない状況」において合意点を見つけ出す交渉なのである。