芝村裕吏+キムラダイスケ『マージナル・オペレーション』9巻

マージナル・オペレーション(9) (アフタヌーンコミックス)

マージナル・オペレーション(9) (アフタヌーンコミックス)

主人公は、子供を傭兵として使役することで生計を立てる、通称「子供使い」と呼ばれる傭兵のボス(戦術指揮)である。元ニートの主人公は、色々あって民間軍事会社で働くことになり、しかも元ゲーマーでシミュレーションゲームにも強かったためか、傭兵たちの指揮に類稀なる才能を示す。しかし自分が指揮していた戦闘員たちが実は年端も行かぬ子供だったことを知り、しかも更にまた色々あって、主人公は24人の子供たちを面倒を見ることになる。

主人公は、子供たちに戦闘とは無縁の生活を送らせたいと考えながら、現状、子供たちを数十人も抱えて生きていくためには戦争をして金を稼ぐしかなく、そのことで子供たちが危険に晒される。その矛盾に主人公は苦悩していた。しかし意地悪な言い方をすれば、これまでは苦悩していれば良かったのである。

9巻は、かなりショッキングな展開になる。現実はリアルだ。ここでのリアルとは、酸いも甘いも自分たちの都合に関わらず押し寄せてくるということである。これまで保護者ヅラをして苦悩していれば良かった主人公に、傭兵として、24人の育ての親としての覚悟とビジョンが問われることになる。原作はもっと続いているようだが、作品的には、ここがひとつのクライマックスだな。