北条司『シティーハンター』全32巻、北条司『エンジェル・ハート 1stシーズン』全24巻、北条司『エンジェル・ハート 2ndシーズン』全16巻(合計76巻)

元々『キャッツ♥アイ』や『シティーハンター』で人気を博した漫画家だが、美女とアクションというのはあくまで添え物で、本来は心の動きを丁寧に追っていく漫画が自分の魅力だと思っているらしい。すなわち、北条司は自分が本当に描きたいことを描き切って認められてきた漫画家では、必ずしもなかった、ということである。これらを踏まえた大きな伏線が2つ。ひとつは、『シティーハンター』が突然4週間後の連載終了を通告されて慌ただしく完結したことで、作者はこの世界観で描くべきことを描き切っていないという思いを持っていたこと。もうひとつは、北条司の大きなテーマである「家族愛」を描いた『F.COMPO』が、コアミックスの立ち上げ及び「週刊コミックバンチ」創刊準備のために多忙となったことから、やはり物語を急速に収束させ連載終了してしまったこと。上記を踏まえ、『シティーハンター』のキャラクターを使い、パラレルワールドで「家族愛」を描くという『エンジェル・ハート』が生まれたそうだ。

なお、この当時は『キン肉マン』『キャプテン翼』『北斗の拳』『魁!男塾』『THE MOMOTAROH』などなど、いわゆる「続編ブーム」とでも言うべき状況下にあり、数十の「過去の名作」が続編として復活し、そして消えていった。そういう状況なので、実のところ本作を読もうという気は正直あまり起こらなかった。率直に言うと「巨匠もそんなことを始めちゃったかー」というね。

とはいえ、完結してしまったのと、最近、徳弘正也というジャンプ出身の漫画家を完全に過小評価してしまっていたことを後悔していたこともあり、とりあえず読んでみるかな、と。

で。

脱水症状になるんちゃうかというほどの大号泣!

シティーハンターの面白さを超えることはないと思っていたが、違った。エンジェル・ハートはシティーハンターの正統進化であり、北条司の最高傑作だった。

何度泣いたことか。多分10回では収まらないな。

合計76巻(しかもけっこう分量がある)ので、簡単には読み返せる代物ではないんだけども、エンジェル・ハートだけでもこれから何十回と読み返すだろう。