インキュベ日記

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高松美咲『スキップとローファー』1巻

スキップとローファー(1) (アフタヌーンコミックス)

スキップとローファー(1) (アフタヌーンコミックス)

頭は良いんだけどド田舎のシンプルな人間関係の中で純粋培養されてきた女の子が、有名大学に入るため都会の高校に進学して、田舎と都会のノリを乗り越えながら青春を謳歌する、という建てつけの漫画。

漫画の主人公というのは、基本的に、KYな方が物語を動かしやすい。気持ちのすれ違いだの何だのがないと、なかなかね。なので一頃(70年代とか)のラブコメでは、主人公は絶望的なまでにKYで、それでも世界は「それが普通だよねっ」と回っていったものだが、2019年現在、流石にそうしたKYを中心とした物語というのは(一周回ったギャグじゃない限り)受け入れられることはないだろう。あまりに不自然だからである。

この作品は、主人公はKYではないが、ド田舎で育ってきたので都会の高校生のハイコンテクストな付き合いはわからない。それがギャグではなく、集団の中での浮いた存在として描写される。でも(世界ではなく)主人公本人が、そのことを自覚しつつも、「他人のことはわからない、それで良いじゃないか」と前を向いて突っ走っていく。

人間関係はもっとシンプルで良いだろうと常々わたしも思っているので、この主人公の前向きさというかひたむきさに、胸がすく思いというか、主人公もっと頑張れというか。

こういう作品を待っていた。

続刊、大大大希望。