瀬野反人『ヘテロゲニア リンギスティコ 〜異種族言語学入門〜』2巻

ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~ (2) (角川コミックス・エース)

ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~ (2) (角川コミックス・エース)

今、最も「面白く」て、かつ「攻めている」漫画のひとつ。

何しろ、漫画を読むだけで、文化人類学のフィールドワークが追体験できるのである。しかも漫画で。

主人公は、文化人類学者のような人なのだが、師匠である学者先生が体調を崩し、独りで「魔界」にフィールドワークするという設定。ワーウルフ語は師匠が色々と解明してくれ、主人公もある程度マスターしているのだが、魔界にはワーウルフ以外の異種族が山ほどいるし、その異種族がワーウルフ語を使えるとは限らない。その中で、何とかコミュニケーションを取りながら魔界の奥地へと進んでいく。

さらには言語と言っても、身振りだったり、色だったり、リズムだったり、イントネーションだったりと、実に様々。例えば、先ほど主人公はワーウルフ語をある程度マスターしていると書いたが、2巻では古ワーウルフ語とでも言うべき言語が出てきて、そちらの方が単純で多くの異種族が使いこなしているのだが、主人公は法則が難しすぎて理解できない事態が発生している。だから読者もある程度、わからないまま先に進まざるを得ないわけで、それを楽しいと思う人か、至れり尽くせりの旅じゃないと嫌だと思う人かで、本作の評価は変わるかもしれない。

わたしは、これは漫画史に残る傑作になり得る作品だと思う。