井上純哉『怪獣自衛隊』4巻

それまで痕跡も見つかったことのない巨大怪獣が突如現れ、しかも他ならぬ日本を襲うという、古き良きテンプレフォーマットがある。その場合、大抵はウルトラマン的なヒーローがやっつけるか、怪獣同士が戦って日本中を唖然とさせるという、わかるようでわからない展開を遂げる。で、本作は人間が、しかも組織としての人類が、怪獣に立ち向かう話である。そうなるとやはり自衛隊しかありえないよねというので、タイトルは実に理にかなっている。

当初は巨大な客船を一気に破壊せしめるような巨大怪獣と戦ったのだが、その幼体ではないかと思われる、体長5メートルぐらいの「ちょっと大きな怪獣」がまちなかに潜伏してしまうという、およそ考えたくもない展開が忍び寄っているのが5巻である。『寄生獣』のような、知能があり人間に擬態する怪獣と、本作のような川や用水路に潜む異形の怪獣、そしてライオンのような猛獣、どれも凶暴で人間を襲って食べるのだが、どれが本当に最も怖いかと問われると、やはり本作のような怪獣な気がする。

この後の展開がめちゃくちゃ楽しみだよ。