橘玲『マネーロンダリング』

マネーロンダリング (幻冬舎文庫)

マネーロンダリング (幻冬舎文庫)

海外投資を楽しむ会の創設メンバーの1人である著者による、オフショアの金融取引をモチーフにした経済小説というか金融小説。著者と言えば何年か前に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』という本を出してブームになったが、その前も、その後も、オフショア投資に関する本を積極的に出している。本書でも、法規制やルールを踏まえた専門的なスキームが載っており、「そうなのか!」と驚くばかりである。資金洗浄マネーロンダリング)と脱法・脱税という内容は、やはり読んでいてスリリングである。
本書の序盤に書かれていた、リスクを取ってポジションを形成するよりも、税金を払う額を抑える(節税する)方が儲かる――という資産運用の主張は、なかなか興味深かった。まあテロ組織や危険国家の話題に事欠かない昨今なので、おそらく規制も厳しくなっているのだろうと想像するが、タックスヘイブンを初めとした税裁定の原理は、俺ももう少し勉強した方が良いかもしれない。