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インキュベ日記

書評2700冊・漫画評4000冊・DVD評400枚の「質より量」な記録サイト(稀に質も重視)

『STEINS;GATE 0(シュタインズ・ゲート ゼロ)』

数年前に人気を博した『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』の正統続編。

前作となる『STEINS;GATE』の正統続編と銘打っている限り、これは前作をやらねば楽しめないと思う。なので、前作を未プレイの方は、初回特典として封入された『STEINS;GATE HD』をプレイするか、テレビアニメを視聴するか、ということになるだろう(少なくとも以下のレビューは読んでおいてもらいたい)。アニメも結構面白いが、情報量や没入感はゲーム版の方が多いので、個人的には『STEINS;GATE HD』のプレイを勧める。
incubator.hatenablog.com

さて、ネタバレ防止のために、昨日の『STEINS;GATE HD』ではプロローグだけを話して作品のメインとなるテーマには触れなかったが、本作『STEINS;GATE 0』はその正統続編であるため、ゼロのネタバレはしないまでも、シュタゲ無印のネタバレは、今から少々します。ご注意を。

さて、以下ネタバレだが、無印のシュタゲでは、主人公オカリンは、まゆりと紅莉栖のどちらを救うか、というところで大きく悩むことになる。自分たちがDメールで散々過去改変を行ったせいでα世界線に飛ばされてしまった世界の未来は、SERNがタイムマシン技術を独占し、争いはないが自由もないディストピアが構築されていた。そしてα世界線の象徴として、まゆりが2010年の8月に死ぬのが確定した未来である。だからオカリンは常人では耐えられないほどのストレスに耐えて、β世界線を目指すことになる。一方、オカリンたちが元々いた(?)β世界線は、紅莉栖の死が確定した未来であることも明らかになっていく。α世界線では幼馴染みのまゆりが死に、β世界線ではヒロイン(オカリンが好きな女性である)紅莉栖が死に……と、オカリンは究極の選択を迫られるが、結局は、元々自分たちの不始末のけじめとして、あるいは幼馴染みを守ると誓った幼き日の自分へのけじめとして、オカリンはまずまゆりを救うこと(α世界線からβ世界線へと移動すること)を優先するのである。

そして無印シュタゲのトゥルーエンディングでは、β世界線から更に、未来の確定していない狭間の世界線と呼ばれる「シュタインズ・ゲート」への移動を試みるのだが、ゼロのオープニングでは、これを諦めてしまう。疲れ切ってしまったのだ。心が壊れてしまったのだ。ゲームのパッケージでも

——これは、救えなかった「未来」の物語。

と書かれているが、要は、無印シュタゲでトゥルーエンディングに到達できなかったオカリンのその先を描いたのがゼロということになる。

だから本作のオカリンは、ほぼ全編を通して陰気な……というか辛気臭い男になっており、何かと言えばフラッシュバックだなんだと吐き気に悩まされ、鳳凰院凶真も封印されている。どちらかと言えば、オカリンよりはダルの方が主人公ではないかと思うほどである。しかし最後は結局……いや、やめておこう。ネタバレになる。しかし人間には器というものがあり、オカリンのような人間は稀だと思う。主人公はオカリンであるべきなのだ。ゼロにおいても、最後は何十回も涙する羽目になったが、やっぱオカリンあってこその涙である。