2典プロジェクト『2典』

「2典」とは「2ちゃんねる辞典」の略である。泣く子も黙る世界最大規模の匿名インターネット掲示板である「2ちゃんねる(通称2ch)」では毎日のように多くの独特の言葉が新しく生まれているが、その初期の1000ほどの用語を収録したのが本書である。2chにおける言語創造(?)の営みは凄まじいものがあるため、現在では普通に使われているものでも、まだ半年前には影も形もなかったものが少なくない。例えば「もうだめぽ」「おながいします」などは、まだ『2典』には載っていない。時の流れを感じる。

<2022年追記>この本はもう持っていないが、この感想は興味深く読み返した。「だめぽ」などはもう誰も使っていないし、アスキーアート文化も廃れた。しかし顔文字は完全に浸透したどころかスマホ自体に絵文字が搭載されて久しい。また「笑」を意味する「w」もネット用語などではなくフツーにチャットで使われるし、これを「草」あるいは「wwwww」と笑いマークを重ねた表現を「草原」などと呼ぶのも完全に浸透した。まあわたしより10歳以上は年上の世代もパソコン通信に親しんでいたわけで、現役世代の大半がネットと多少の関わりがあるのだから、もはやネットを若者文化と呼ぶことすらピントを外している。20年という時の流れは本当に興味深いね。