蒔田光治+林誠人+堤幸彦『TRICK――トリック the novel』

一部に熱狂的なファンを獲得した「TRICK」という深夜ドラマのノベライズ版。先日DVDをレンタルしてTRICKの1と2を鑑賞して、俺も思いっきりハマってしまった。すげえ面白いので、ぜひ観るべし。ちなみに堤監督は、これまた熱狂的なファンを獲得したドラマ「ケイゾク」の監督でもある。良い仕事してますね〜。堤監督サイコー。霊能力や超常現象を装った事件に巻き込まれたり自ら飛び込んでいったりした主人公たちが、トリックを暴き事件を解決していくという物語なのだが、内容もさることながら、キャラが良い。

まず笑顔のぎこちない売れないマジシャン、山田奈緒子。偉大なマジシャンを父に持つが、「霊能力など存在しない」と公言していた父は、マジックの練習中に「霊能力は存在した」という言葉を残して亡くなる。ちなみに貧乳。金欠。

次に「霊能力など存在しない」と言い切る気鋭の若手物理学者、上田次郎。めちゃくちゃ頭は良いが、めちゃくちゃ頭が固い。極度の怖がりで、すぐ気絶する。ちなみに巨根。

さらには、権力にはめっぽう弱いが弱者にはめっぽう強い、大阪弁のヅラ刑事矢部、矢部に殴られながらも何故か矢部を慕ってやまない、キツい広島弁訛りの刑事石原(矢部の部下)、山田奈緒子の母親、さらに各話ごとのゲストを織り交ぜつつ、物語は実にテンポ良く進む。もしやタイトルの「TRICK」というのは、殺人事件のトリックではなくてキャラがトリッキーだということを示しているのでは? と思ってしまうほどキャラの個性は強い。

やはり元がドラマなのだから、DVDやビデオをレンタルしてきてドラマで楽しむのがあくまでも一番だとは思う。ただ、ドラマを観たあと本書を読むと、ドラマでの描写ではかなり印象的だったのにノベライズではサラッと流されている部分があったり、あるいはその逆の部分があったり、ドラマでハマった人は色々な発見があって楽しめると思う。ドラマと違うところが何カ所か見つかったりするのも、それはそれで面白い。