アレックス・シアラー『青空のむこう』

「やり残したことがあるんだ。」という帯に惹かれ、ハードカバーなのに珍しく買ってしまったが、これは面白い。ネタバレしないようにストーリーをうまく説明するのが意外と難しくて困っているのだが、本書ほど「幽霊」という存在を切なく描いた物語はあまりないのではないか?

物語の冒頭、いきなり主人公ハリー(どこぞの物語と同じ名前ですな)は交通事故で死んでしまう。死者の国(?)で最初にすることは名前を登録することなのだが、やり残したことがあると「彼方の青い世界(死者が向かうところ)」に行くことができない。ハリーは、姉のエギーにヒドいこと(それはヒドいというよりも、とても皮肉で切ないこと)を言ってしまったため、姉に自分の思いを伝えたかったのだ。そして姉や父や母や友達にもう一度会いたかった。そこで、死者の国(?)で出会ったアーサーと共に生者の国へ出かけていく――こんなプロローグ。ネタバレになりそうなので書かないが、とてつもなく泣ける、切ないシーンが幾つもある。これは読んどいた方が良い。いやマジで。オススメ。