三菱総合研究所『全戦略 日本のビジネス――産業再生の行動シナリオ50』

「現在の困難を打開するために日本の企業はどのような戦略を選択・実行すれば良いか」といったテーマで、企業の成し得る貢献や挑戦を具体的な50のシナリオを提案している。産官学の連携やナノテク・バイオといった定番テーマはもちろん網羅しているが、環境経営やリスク管理といった次世代経営の核となるであろうテーマも挙げられている。さらには農業ビジネスや海洋ビジネス・ものづくりといった「伝統的な分野の新たな展開」が紹介されているなど、50のシナリオはそれぞれ非常に興味深いものばかりだ。

50のシナリオは「成熟化・国際化時代の企業像――新たな市場環境下での競争力強化」「民の知恵で創る社会システム――マーケット指向とネットワーク化を軸に」「よみがえる空間・生活価値――生活者目線からの都市再生ビジネス」「e-ジャパン時代のIT活用――省力化の道具から価値創造の道具へ」「日本発・産業技術革新――時代と社会が求めるキーテクノロジー」「攻めの環境経営・環境ビジネス――地球サイズのモラルをリードする」「日本企業の新たなリスク――なりゆき型マネジメントからの脱却」の7章に分けられ、それぞれの提案は4ページとコンパクトながらも必要な説明は漏らしていないと思う。

日本の企業が為し得る(であろう)挑戦や社会貢献がわかりやすく書かれているため、ビジネスマンに限らず、高校生や大学生・就職活動中の者が読めば「企業にはこんなチャレンジが可能なのか!」と希望や新鮮な驚きを得ることができると思う。オススメ。それぞれは短い文章なので、電車の中などの細切れの時間を利用して読めるのも高ポイント。