今回はコミュニティビジネスの特集がダントツで面白い。コミュニティビジネスとは、純粋な利益追求とも利益度外視のボランティアとも違う、地域社会と一緒に社会を創るビジネスの形態である。昔ながらの地域社会に密着した商店街が大型スーパーや百貨店・全国チェーンのパン屋・コンビニなどに客を奪われて衰退していく――というストーリーは、あまりにありふれている。しかし本書に登場する商店街は、自らの商店街を株式会社化することで新たなビジネスを幾つも創出している。意志決定とフットワークの軽さは色々な人が参考にすべきだ。
あとは、デパ地下ブームの先駆けとなった東急百貨店のデパ地下特集も面白かった。デパ地下なんて以前はちょっとした総菜や和菓子があるというイメージしかなかったけれど、デパ地下をめぐる状況が東急百貨店の仕掛けを機に一変したということが、本書を読むと理解できる。強みを生かして差別化を図るというのは、小売業に限らず、ほとんど全てのアクションにおいて基本となる戦略だろう。必読。
