伊丹敬之+伊藤邦雄+沼上幹+小川英治『一橋大学ビジネススクール「知的武装講座」』

日本型ビジネススクールを作りあげようとしている一橋大学の看板教授が、現実の経営の諸問題をどのような切り口で切ろうとしているのか、様々な問題を取り上げながら論じた本である。ここで言う「日本型ビジネススクール」とは、アメリカの典型的なMBAプログラムとは方向性がかなり異なっており、「社会科学的見方の重視」「歴史・古典・哲学の重視」「現実と分析との間の往復運動とそのための議論と対話の重視」という3点の特徴を持たせたビジネススクールのことでらしい。

実務知識偏重でも理論倒れでもなく、現実と理論の往復運動のプロセスを重視することで、本質的な分析・提言・実行のできる人材を育てたい――というところには非常に好感と興味を持った。深い内容を孕んだ箇所もあり、「現実と理論の往復運動のプロセスの重視」という学習スタンスに共感できるなら、読む価値のある本だと思う。