- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/11/25
- メディア: 単行本
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本書で主題的に取り上げられたミュージシャンは、シダー・ウォルトン、ブライアン・ウィルソン、シューベルト、スタン・ゲッツ、ブルース・スプリングスティーン、ゼルキン、ルービンシュタイン、ウィントン・マルサリス、スガシカオ、フランシス・プーランク、ウディー・ガスリー。ジャズに限らず、ロックから日本のポップミュージックまで、幅広くチョイスされている。個人的には、誰もが“名前だけは知っている”音楽家シューベルトの項、村上春樹が偏愛するスタン・ゲッツの項、現代を代表するジャズミュージシャンであるウィントン・マルサリスの項、それから村上春樹が珍しく日本のポップミュージックについて語ったスガシカオの項あたりが特に面白かった。
俺はジャズに明るい訳ではないが、スタン・ゲッツのアルバムは(もちろん村上春樹の影響で)俺も何枚か持っているし、何度も聴いた。形容しがたい美しい旋律の裏には、こんなエピソードが宿命的にまとわりついていたのか――と思うと、また聴き方も変わるような気もするし、より愛着を持って聴けるような気もする。
ちなみに本書の書名は、デューク・エリントンの名演『スイングがなければ意味はない』から来ているらしい。音楽にこだわりを持つ村上春樹らしい書名。まあ何にせよ、こだわりを持って何かを深く偏愛した人の熱意に触れるのは、どうにも面白いものです。