トルーマン・カポーティ『あるクリスマス』

あるクリスマス

前回の『おじいさんの思い出』とは対照的に、最晩年のカポーティによる、最後のまとまった作品。父にも母にも顧みられず親戚の元で暮らす主人公は、クリスマスに父と会うことになるのだが、今まで他人のように触れ合ってきたのにいきなり心が触れ合うはずもない。親子の哀しい触れ合いと少年のナイーブな感情が描かれている。山本容子の版画や村上春樹の解説も良い。今まで翻訳モノはほとんど読んでこなかったけれど、村上春樹繋がりで、最近は少しずつ読み始めている。今後も、村上春樹の翻訳をもっと読んでみることにしたい。