
- 作者: 古屋兎丸
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/01/30
- メディア: コミック
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最もクオリティが高いと思ったのは「あくまのうた」だろうか。あまりにも崩壊しきった家庭環境のため、悪魔の花嫁になるという現実離れした空想を希望に換えて生きるしかなかった少女。しかしそれも限界に近づいたとき、少女の想いが奇蹟を起こすのである。あまりに切ない。
他には、先生に恋をする女子高生を描いた「嬲られ踏まれそして咲くのは激情の花」も良かった。
高1の現文の授業で守谷先生は突然「僕は避妊の失敗で生まれたんだ」と言った。
みんなはクスクス失笑していたけれど、私はその日、恋をした……
先生は語る
この世の苦悩、醜くさ、美しさ、そして優しさを。「花」という詩で丸山大介はこう語っている。
氷の箱に閉じ込められた
小さき塊が小さな呼吸をした
気泡がのぼり閉ざされた口から
言葉があふれた
いますぐ光がさしこまなくとも
その熱は潔く彼のものとなり
萌芽した。
思慕する心や魂はどのような形であらわれるのだろう?
暗闇の中 激情に身をまかせ手探りすると、
やがて魂はうっすらと、心の中に花を咲かせる……
君たちはまだ魂が花を咲かせるほどの激情というものを知らないだろう。
こう言ってる私も怪しいものだが……私は知ってるよ……先生。
そして先生の心を繋ぎ止めるために少女が引き起こすラストシーン――感動!